遺伝子多型の持ち方は国や地域で違う?日本人と欧米人の違い
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
遺伝子多型を持つ人の割合は、国や地域によって違うことが多いです。ダイエットの遺伝子検査で読む3つの多型も、日本人とヨーロッパ系の集団で割合が違います。
同じ多型でも、食生活が違えば体重との関連の出方が変わることがあります。そのため、海外の研究の結果を、そのまま日本人に当てはめられるとは限りません。
3つの多型の地域ごとの割合
米国国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベース dbSNP には、多型ごとに、集団の中での割合が載っています。日本人は東北メディカル・メガバンク機構の約3万8千人分、ほかの地域は国際的な調査(1000 Genomes Project)の値です。
| 集団 |
ADRB3 の Arg の並び |
UCP1 の G の並び |
ADRB2 の Arg の並び |
| 日本人 |
約19% |
約49% |
約49% |
| 東アジア |
約13% |
約47% |
約55% |
| 南アジア |
約16% |
約39% |
約45% |
| ヨーロッパ系 |
約8% |
約24% |
約39% |
| アフリカ系 |
約9% |
約73% |
約52% |
| アメリカ大陸 |
約12% |
約41% |
約46% |
割合は、1人が2つずつ持つ並びを全部数えたうちの比率です。ADRB3 の Arg の並びは、日本人ではヨーロッパ系の約2倍あります。UCP1 の G の並びは、アフリカ系の集団で最も多く、ヨーロッパ系の集団で最も少なくなっています。
どの集団にどの並びが多いかは、多型ごとにばらばらです。割合の違いは、それぞれの集団で研究の結果を読むときの前提で、集団どうしの体質の優劣を表すものではありません。ADRB3 の割合と倹約遺伝子の話は「日本人は倹約遺伝子が多い?よく聞く話を研究で確かめる」で扱っています。
集めた研究で、解析の結論が分かれた例
ADRB3 の Trp64Arg と BMI の関係は、集めた研究の範囲によって、まとめた解析の結論が分かれています。
| 解析 |
集めた研究 |
結論 |
| Allison ら(1998年) |
民族の違う集団を含む23研究、7,399人 |
BMI との関連は統計的に有意でない |
| Kurokawa ら(2001年) |
日本人の35の研究グループ、6,582人 |
多型を持つ人の BMI が平均 0.26 kg/m² 高い |
Allison らは、研究ごとの結果のばらつきに意味のある差は見られず、民族によって多型の影響が変わる証拠はなかったという結論です。一方の Kurokawa らは、多型の頻度は人種で違い、日本人は頻度が高いと述べています。人数が十分にあるので統計の誤りを防げた、というのが日本人に絞った理由です。
2つを並べると、地域で影響の大きさが違うとまでは言えません。言えるのは、どの集団の研究を集めるかで結論が変わりうることです。日本人に当てはめるときは、日本人を対象にした研究があるかを確かめるのが確実です。研究の選び方は「日本人の研究がある遺伝子を選ぶ理由:遺伝子検査の確かめ方」にまとめています。
食生活が違えば、関連の出方も変わりうる
多型と体重の関連は、食べる量や中身によって見え方が変わります。日本人男性295人の研究(Miyaki ら、2005年)では、ADRB3 の多型だけでは肥満の割合に差がなく、差が見られたのは摂取エネルギーが多い人に限られました。くわしい数字は「太りやすさは遺伝子だけで決まらない:食べる量との関係」で紹介しています。
同じ多型でも、食べる量や中身の傾向が違う国で調べれば、関連の大きさが変わることがありえます。
海外の試験をそのまま当てはめない
遺伝子の型で食事法を分けた大規模な試験の1つが、米国の成人609人の無作為化試験(Gardner ら、JAMA 2018年)です。PPARG、ADRB2(Gln27Glu)、FABP2 の型の組み合わせで低脂肪食と低炭水化物食のどちらが合うかを分けても、12か月の体重の減り方に差は出ませんでした。
この試験は、米国の成人を対象にしたものです。使った多型も、dNAXY neo が読む3つとは組み合わせが違います。試験の中身は「遺伝子で食事法を選んでも差がなかった試験」で紹介しています。
dNAXY neo の3つの多型の研究
dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページの中心は、3つの多型それぞれについて日本人を対象にした研究です。ADRB3 が5本、UCP1 が3本、ADRB2 が3本の計11本で、関連を認めなかった研究も含みます。上の米国の609人の試験も、同じページで紹介しました。
結果レポートでは、3つの多型それぞれで、肥満に関連するとされる並びをいくつ持つかを危険度1〜3で示します。糖質と脂質は、危険度1が「いつもどおり」、危険度2が「ややひかえめ」、危険度3が「ひかえめ」です。研究で見られたのは集団の平均の小さな差なので、危険度は、糖質と脂質のどちらを先に控えるかを決める目安に使ってください。
検査を受けるには
dNAXY neo の検査は、綿棒で頬の内側をこすって送る方式です。検体の到着から約2週間で、3つの項目の危険度が結果レポートに載ります。価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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