日本人の研究がある遺伝子を選ぶ理由:遺伝子検査の確かめ方
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
遺伝子検査を選ぶときに、日本人を対象にした研究があるかを見るのは大事なことです。経済産業省の「遺伝子検査ビジネス実施事業者の遵守事項」も、検査の科学的根拠は、日本人を対象にした解析であることが望ましいとしています。
理由は、遺伝子の型を持つ人の割合も、食生活も、国によって違うからです。この記事では、遵守事項の書き方と、日本人の研究を見る理由、dNAXY neo の3つの遺伝子の研究の状況を説明します。
遵守事項が望ましいとする論文の条件
遵守事項は、検査の前に消費者へ示す同意の文書に「検査の臨床的妥当性や臨床的有用性を示す科学的根拠」を入れることを求めています。その根拠の論文の条件は、次の表の2段階です。
| 段階 |
条件 |
| 必要 |
Medline に掲載されている査読付きの雑誌に載っていること |
| 望ましい |
日本人を対象集団とした関連解析または連鎖解析であること |
| 望ましい |
同じ研究について、異なるグループから複数の報告があること |
| 望ましい |
最初の論文から一定の年月がたっていること |
| 望ましい |
Medline の検索式を明記するなど、論文の選び方に客観性があること |
| 望ましい |
適切な統計学の手法が使われていること |
「日本人を対象集団とした」は、望ましい条件の最初に挙がっています。論文が Medline に載っているかの確かめ方は「遺伝子検査の科学的根拠はどこを見る?論文の確かめ方」で説明しています。
型を持つ人の割合が、国や地域で違う
同じ遺伝子の同じ型でも、持っている人の割合は集団によって違います。ADRB3 の Trp64Arg について、日本人6,582人をまとめた解析(Kurokawa ら、2001年)の抄録によると、型の頻度は人種によって違い、この解析は頻度の高い日本人に絞ったものです。
割合が違うと、同じ人数で研究しても、型を持つ人と持たない人の人数の釣り合いが変わります。型を持つ人が少ない集団では、比べる相手の人数が少なくなり、差があるかどうかを見分けにくくなります。日本人とほかの集団の割合の数字は「日本人は倹約遺伝子が多い?よく聞く話を研究で確かめる」に載せています。
食べる量や中身でも、関連の見え方が変わる
遺伝子と体重の関連は、食べるものの条件によって見えたり見えなかったりします。日本人男性295人の研究(Miyaki ら、2005年)では、ADRB3 の型だけでは肥満の割合に差がありませんでした。差が見られたのは、摂取エネルギーが多い人に限ってです。
ほかの国で見られた関連が、食生活の違う日本人でも同じように見られるとは限りません。そのため、日本人の食生活の中で調べた研究があるかが、結果を自分に当てはめるときの手がかりになります。くわしい数字は「太りやすさは遺伝子だけで決まらない:食べる量との関係」で紹介しています。
dNAXY neo の3つの遺伝子の日本人の研究
dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページには、3つの遺伝子それぞれに日本人を対象にした研究を載せました。研究の数と、いちばん人数の多い研究は次のとおりです。
| 項目 |
遺伝子 |
日本人の研究 |
人数の多い研究 |
| 糖質 |
ADRB3 |
5本 |
6,582人をまとめた解析(関連あり) |
| 脂質 |
UCP1 |
3本 |
若い男性349人(関連なし) |
| たんぱく質(筋肉) |
ADRB2 |
3本 |
4,193人(関連なし) |
3つとも、筆頭著者の異なる複数の研究があります。ただし、日本人の研究があることと、関連がはっきりしていることは別です。ADRB2 は、日本人4,193人の研究で、この型だけでは BMI や肥満との関連が見られませんでした。根拠のページでは、ADRB2 を3つの中で根拠が最も弱い項目としています。
研究ごとの対象と結果は「日本人の肥満と遺伝子の研究:3つの遺伝子でわかっていること」で、遺伝子ごとに読めます。
日本人の研究だけでは確かめられないこと
日本人の研究にも限界があり、その1つは試験の種類です。根拠のページの日本人の研究11本は、どれも型と体格の関連か、減量のときの体重の変化を調べたものです。遺伝子タイプに合わせた食事で体重の減り方が変わるかを、くじで振り分けて確かめた日本人の試験は、根拠のページにはありません。
その種類の大規模な試験として載せているのは、米国の成人609人の無作為化試験(Gardner ら、JAMA 2018年)です。遺伝子の型で低脂肪食と低炭水化物食を分けても、12か月の体重の変化に差は見られませんでした。この試験が使った遺伝子は PPARG、ADRB2、FABP2 で、dNAXY neo の3つとは組み合わせが違います。
選ぶときに確かめる順番
検査を選ぶときは、まず調べる遺伝子の名前と型が書かれているかを見てください。次に、その遺伝子ごとに日本人を対象にした論文が示されているかを確かめます。最後に、関連を認めなかった研究まで載っているかを見ると、根拠の強さを遺伝子ごとに比べられます。
dNAXY neo の検査は、3つの遺伝子の型を調べ、結果レポートに項目ごとの危険度1〜3を出す検査で、価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果レポートの一例は「結果レポートのサンプル」で見られます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
担当ペルソナについて
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