ADRB3 と UCP1 の両方を持つと?組み合わせの研究
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
ADRB3 と UCP1 の型を両方持つ肥満の日本人女性では、減量の幅が小さかったと報告した短報があります。3つの遺伝子の型を組み合わせたときに、ウエストとヒップの比との関連が見られた研究もあります。
ただし、どちらも人数の限られた研究で、組み合わせの影響が重なると言える段階ではありません。この記事では、2つの研究の数字と、そこから読み取れる範囲を説明します。
組み合わせが調べられてきた理由
ADRB3 は脂肪の分解や熱を作る合図を受け取る受容体の遺伝子で、UCP1 は褐色脂肪細胞で熱を作るたんぱく質の遺伝子です。どちらも体がエネルギーを熱として使うしくみに関わるので、両方の型が重なると影響も大きくなるのではないか、という見方から組み合わせが調べられてきました。
1つずつの遺伝子の説明は「ADRB3(β3アドレナリン受容体)遺伝子とは?」と「UCP1 遺伝子とは?」にまとめています。
肥満の女性113人の短報(Kogure ら、1998年)
京都府立医科大学のグループは、1998年に Diabetologia 誌の投書欄に1ページの短報を出しました。フィンランドの肥満の人で2つの型の組み合わせと基礎代謝の関係を見た研究を受けて、日本人で確かめた報告です。
対象は肥満の日本人女性113人で、平均年齢は47歳、平均 BMI は31.0でした。3か月の低カロリー食と運動の指導のあと、減った体重を UCP1 の型ごとに比べています。
| UCP1 の型 |
人数 |
3か月で減った体重(平均) |
| A/A |
36人 |
7.4kg |
| A/G |
51人 |
7.7kg |
| G/G |
26人 |
4.3kg |
G/G の人は、A/A の人より減った体重が少ない結果でした。食べた量と運動の量は、型による違いがなかったと書かれています。
組み合わせでは、UCP1 が G/G で、ADRB3 の Arg も持つ13人の減った体重が平均3.3kg でした。ADRB3 の Arg だけを持つ34人の平均は4.8kg です。減量しにくい人の割合を比べたオッズ比は、UCP1 の型だけで3.34、ADRB3 の型だけで2.77、両方で6.46と報告されています。
短報の数字を読むときの注意
両方を持つ人のオッズ比6.46には、95%信頼区間が1.36〜30.64と書かれています。区間の幅がとても広く、組み合わせの影響がどれくらいの大きさなのかは、この数字からは絞り込めません。両方を持つ人は13人だけでした。
同じ短報では、UCP1 の型ごとの BMI、体脂肪率、ウエストとヒップの比に差は見られていません。肥満の女性113人と、肥満でない女性76人で、G の並びの割合もほぼ同じでした(0.46と0.45)。著者らも、UCP1 の型が減量に関わるしくみは推測の段階で、さらに調べる必要があると書いています。
3つの遺伝子を組み合わせた222人の研究
群馬大学のグループは、血圧、脂質、血糖の薬を飲んでいない日本人222人で、ADRB3、ADRB2、UCP1 の3つの型を組み合わせて調べました(Tsunekawa ら、2011年)。3つの遺伝子で関連するとされる並びを4つか5つ持つ人は、0〜3つの人よりウエストとヒップの比が高い結果でした。
この研究で関連が見られたのは、ウエストとヒップの比です。BMI や減量の幅を比べた研究ではありません。ウエストとヒップの比の測り方は「ウエストヒップ比とは?」で説明しています。
組み合わせの影響は、まだ確かではない
2つの研究は、どちらも日本人を対象にした数百人までの研究で、見ている指標も違います。1つは3か月の減量の幅、もう1つはウエストとヒップの比です。同じ組み合わせを別の集団で確かめた研究は、dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページには載っていません。
遺伝子の組み合わせで食事法を選び分ける考え方は、米国の成人609人の無作為化試験でも調べられました。この試験は PPARG、ADRB2、FABP2 の3つの遺伝子の型の組み合わせで人を分けましたが、12か月の体重の変化に差は出ていません。試験の中身は「遺伝子で食事法を選んでも差がなかった試験」で紹介しています。
結果レポートでの組み合わせの見え方
dNAXY neo の結果レポートでは、ADRB3 を「糖質での太りやすさ」、UCP1 を「脂質での太りやすさ」として、項目ごとに危険度1〜3で示します。2つの項目の危険度は、それぞれの遺伝子の型から別々に決まるものです。
糖質と脂質の両方で危険度が2以上の結果では、「検査結果」の章の「オススメの食生活タイプ」の欄に、どちらを先に控えるかが書かれています。欄の読み方は「糖質と脂質など、2つ以上の項目で危険度が高いときの読み方」で説明しています。
研究で見られた差は、型を持つ人の集団と持たない人の集団を平均して比べた違いです。両方の危険度が高い結果は、糖質と脂質のどちらから食事を見直すかを決める目安として使えます。
検査を受けるには
dNAXY neo の検査は、綿棒で頬の内側をこすって送る方式で、ADRB3、UCP1、ADRB2 の3つの遺伝子を調べます。価格は9,350円(税込・送料込み)です。検体の到着から約2週間で、マイページの結果レポートが開けるようになります。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定も使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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