UCP1 遺伝子とは?熱をつくるたんぱく質のはたらき
2026年10月6日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
UCP1 は、脱共役タンパク質1(uncoupling protein 1)というたんぱく質を作る遺伝子です。このたんぱく質は褐色脂肪細胞のミトコンドリアにあり、脂肪などから得たエネルギーを熱に変えます。
UCP1 遺伝子には -3826A>G という型の違いがあり、日本人を対象に体重との関連が調べられてきました。dNAXY neo の検査では、この型を調べ、結果レポートの「脂質での太りやすさ」の項目に危険度1〜3で載せています。
UCP1 が作るたんぱく質のはたらき
細胞の中のミトコンドリアは、食べ物から得たエネルギーを使って ATP という物質を作ります。ATP は、筋肉を動かすときなどに体が使うエネルギーの形です。
UCP1 が作るたんぱく質は、このしくみの途中に抜け道を作ります。ATP を作るはずだったエネルギーが、抜け道を通ると熱として出ていきます。「脱共役」という名前は、ATP 作りとエネルギーの流れを切り離すことを表す言葉です。
米国国立生物工学情報センター(NCBI)の遺伝子データベース(Gene)によると、UCP1 遺伝子は4番染色体にあり、熱を作る専門の組織である褐色脂肪組織だけではたらいています。
褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞
脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。
| 種類 |
主な役目 |
多い場所 |
| 白色脂肪細胞 |
余ったエネルギーを中性脂肪としてためる |
お腹、お尻、太もも、背中、二の腕、内臓のまわり |
| 褐色脂肪細胞 |
UCP1 のはたらきで、脂肪を燃やして熱を作る |
首、脇の下、肩甲骨のあたり、心臓や腎臓のまわり |
体重管理で減らしたいのは、白色脂肪細胞にたまった脂肪です。褐色脂肪細胞は、脂肪を熱に変えて使う側の細胞です。
大人の体で褐色脂肪がどれだけはたらいているかは、長く意見が分かれていました。日本の研究グループが2009年に Diabetes 誌に発表した研究では、健康な成人56人に19℃の部屋で2時間過ごしてもらい、PET と CT で調べています。その結果、23〜35歳の32人のうち17人で、鎖骨の上や背骨のまわりに活発な褐色脂肪が見つかりました。38〜65歳では24人のうち2人です。褐色脂肪の活発さは、夏より冬に高く、BMI や内臓脂肪の面積が大きい人ほど低い傾向でした(PubMed 19401428)。
-3826A>G という型の違い
UCP1 遺伝子のはたらきの強さを調節する部分は、遺伝子の始まりより手前にあります。始まりから3826塩基手前の位置に、塩基が A か G かという個人差があります。この個人差の呼び名は、研究では「-3826A>G」、データベースでは「rs1800592」という番号です。
遺伝子は父と母から1本ずつ受け継ぐので、型の組み合わせは3通りです。結果レポートでは、組み合わせを次のように危険度に置き換えています。
| 遺伝子の型 |
脂質での太りやすさ |
食事の目安 |
| A/A |
危険度1 |
いつもどおり |
| A/G |
危険度2 |
ややひかえめ |
| G/G |
危険度3 |
ひかえめ |
結果レポートの「検査結果」の章では、危険度が高い人について、UCP1 がうまくはたらかず脂肪を燃やす効率が下がりやすい体質だと説明しています。
日本人を対象にした3つの研究
dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページには、UCP1 の型について日本人を対象にした3つの研究を載せました。結果は研究ごとに分かれ、関連を認めなかった研究もあります。
| 研究 |
対象 |
結果 |
| Matsushita ほか(2003年) |
日本人女性312人 |
閉経前の女性で、G を持つ人は BMI と4年間の体重の増え方が大きかった |
| Kogure ほか(1998年) |
肥満の日本人 |
ADRB3 の型と組み合わさると、減量の効果が小さくなると報告した短報 |
| Shihara ほか(2001年) |
若い日本人男性349人 |
この型と BMI との関連は見られなかった |
1本目の研究でも、閉経後の女性182人では、G を持つ人と持たない人で BMI の差は見られませんでした。年齢や性別、ほかの遺伝子の型によって、関連が見えたり見えなかったりするのが現状です。
結果レポートでの読み方
結果レポートでは、UCP1 の型を「脂質での太りやすさ」として、ADRB3(糖質)、ADRB2(たんぱく質(筋肉))と並べて載せています。危険度が2か3の人には、揚げ物、脂の多い肉、バターなど、脂質の多い食べ物をひかえめにする目安を示します。
研究で見られた差は、同じ型の人の集団で平均したときの小さな違いです。糖質と脂質のどちらを先に控えるか迷ったとき、UCP1 の危険度は1つの目安として使えます。
3つの遺伝子で何がわかるかは「ダイエットの遺伝子検査でわかること、わからないこと」で説明しています。結果レポートの一例は「結果レポートのサンプル」のページです。
UCP1 の型を調べるには
遺伝子の型は生まれつきのもので、一度調べた結果をずっと使えます。
dNAXY neo の検査では、綿棒で頬の内側をこすって送ると、検体の到着から約2週間で、UCP1 を含む3つの遺伝子の結果レポートがマイページで開けます。価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定も使えます。
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
担当ペルソナについて
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