褐色脂肪細胞を増やす方法はある?寒さと運動の研究でわかること
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
寒さにくり返し当たると、褐色脂肪のはたらきが高まったという研究があります。17℃の部屋で毎日2時間過ごす生活を6週間続けた研究や、15〜16℃の部屋で10日間過ごした研究です。
運動や食べ物で褐色脂肪が増えるという話は、研究の条件と量を確かめてから読むのが確かです。遺伝子の UCP1 の型は一生変わらないので、型による傾向は、結果レポートの脂質の目安を食事に使って補えます。
褐色脂肪の「はたらき」を測る方法
褐色脂肪細胞は、UCP1 というたんぱく質のはたらきで、エネルギーを熱に変える脂肪細胞です。どこにあるか、年齢でどう変わるかは「褐色脂肪細胞とは?」で説明しています。
褐色脂肪の研究では、寒い部屋で過ごしてもらったあと、PET-CT という画像の検査で、褐色脂肪がどれだけ糖を取り込んでいるかを測ります。もう1つの指標は、寒さで増えるエネルギーの消費量です。「増えた」「高まった」というのは、多くの場合この2つの値のことで、褐色脂肪の重さを量っているわけではありません。
寒さにくり返し当たった2つの研究
日本の Yoneshiro ら(2013年)は、褐色脂肪のはたらきが低いか見つからない若い男性22人を、2つのグループに分けました。12人は17℃の部屋で毎日2時間過ごし、10人はふだんどおりに暮らしています。
6週間後、寒い部屋で過ごしたグループでは、褐色脂肪のはたらきと、寒さで増えるエネルギーの消費量が高くなりました。寒さで増える1日のエネルギー消費量の変化は、平均で約181kcal で、ふだんどおりのグループは約5kcal でした。体脂肪の量は平均5.2%少なくなり、体重と、脂肪を除いた体の重さには、はっきりした変化がありませんでした。
オランダの van der Lans ら(2013年)は、健康な17人に、15〜16℃の部屋で10日間過ごしてもらいました。1日目は2時間、2日目は4時間、3日目からは1日6時間です。褐色脂肪のはたらきと、ふるえずに作る熱の量が増えました。
どちらの研究も、温度と時間を決めた部屋で、数十人を数週間調べたものです。家で薄着になる、冷たい水を浴びるといった方法は、この研究の条件とは違います。
運動で増えるかを調べた研究
ネズミなどの動物の研究では、持久的な運動が、白色脂肪の中に褐色脂肪に似た細胞を増やすという報告がありました。人で確かめた Vosselman ら(2015年)は、持久系の運動を続けてきた男性12人と、運動の習慣がない太っていない男性12人を、軽い寒さの中で比べています。
結果は、運動を続けてきた男性のほうが、寒さで活発になる褐色脂肪のはたらきが低いというものでした。お腹の皮下脂肪の組織でも、褐色脂肪に似た細胞の目印となる遺伝子のはたらきに差は見られていません。この研究の範囲では、運動を続けている人で褐色脂肪が多いという結果は出ませんでした。
肩甲骨を動かす体操などで褐色脂肪が増えると紹介されることもあります。その体操で褐色脂肪のはたらきを画像で測ったのか、人数は何人かを確かめてから読んでください。
食べ物の成分の研究
Yoneshiro ら(2013年)は、唐辛子の辛み成分に似た辛くない成分(カプシノイド)の研究もしています。10人が、カプシノイド9mg 入りのカプセルと、何も入っていないカプセルを、それぞれ6週間毎日飲む方法です。カプシノイドを飲んだあとは寒さで増えるエネルギー消費量が高くなりましたが、体脂肪の変化は約2%で、統計的な差はありませんでした。
研究で使われたのは、成分の量を決めたカプセルです。料理に唐辛子を加えたときの量や結果とは分けて読む必要があります。
UCP1 の型は変わらないので、食事の目安で補う
褐色脂肪のはたらきが寒さで変わっても、UCP1 遺伝子の -3826A>G という型は生まれつきのもので変わりません。dNAXY neo の結果レポートでは、この型が「脂質での太りやすさ」の項目になり、食事の目安は次の表のとおりです。
| 脂質の危険度 |
食事の目安 |
| 危険度1 |
いつもどおり |
| 危険度2 |
ややひかえめ |
| 危険度3 |
ひかえめ |
「食生活アドバイス」の章の「脂質を減らしましょう」では、肉はヒレやもも、鶏肉は皮なしを選び、調理法は茹でる、焼く、揚げるの順に選ぶよう勧めています。料理の辞書の1人分の値で比べると、同じ食材でも脂質の量に大きな差が出ます。
| 料理(1人分) |
カロリー |
脂質 |
たんぱく質 |
| 鶏の唐揚げ |
326kcal |
24.2g |
17.3g |
| 鶏むね肉の照り焼き |
215kcal |
5.3g |
29.1g |
| とんかつ |
457kcal |
33.8g |
23.1g |
| 豚しゃぶサラダ |
186kcal |
9.9g |
20.2g |
| 鮭のクリーム煮 |
335kcal |
20.6g |
26.3g |
| 鮭のホイル焼き |
183kcal |
8.4g |
23.7g |
唐揚げを鶏むね肉の照り焼きに替えたときの差は、脂質が18.9g 少なく、たんぱく質が11.8g 多いというものです。とんかつから豚しゃぶサラダへの替え方では、脂質の差は23.9g です。危険度ごとの脂質の割合と1日の量は「UCP1 遺伝子とダイエット」で説明しています。
結果を毎日の献立に使う
dNAXY neo では、結果が出た日から30日間、脂質の危険度に合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。食事の判定は、食べる前に料理名を入れるか写真を撮ると、その食事が目安に合うかを判定する機能です。
検査は綿棒で頬の内側をこすって送る方式で、価格は9,350円(税込・送料込み)です。検体の到着から約2週間で、UCP1 を含む3つの遺伝子の結果レポートが開けます。
出典
- Yoneshiro T, et al. J Clin Invest. 2013;123(8):3404-8.(PubMed 23867622)
- van der Lans AA, et al. J Clin Invest. 2013;123(8):3395-403.(PubMed 23867626)
- Vosselman MJ, et al. Int J Obes (Lond). 2015;39(12):1696-702.(PubMed 26189600)
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
担当ペルソナについて
ダイエット遺伝子検査+30日プログラム
9,350円(税込・送料込み)
検査の内容を見る
「UCP1」の記事をすべて見る(6本)