UCP1 遺伝子の多型(-3826A>G)と体重:日本人の研究を読む
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
UCP1 遺伝子の -3826A>G という多型では、日本人女性312人の研究で、G を持つ閉経前の女性の BMI と4年間の体重の増え方が大きいと報告されています。一方、若い日本人男性349人の研究では、BMI との関連は見られませんでした。
性別や年齢で結果が分かれているので、この多型は「ある条件の人で体重との関連が見られた」と読むのが研究の範囲です。この記事では、多型の組み合わせの読み方と、2つの研究の数字を PubMed の抄録で確かめて紹介します。
-3826A>G の組み合わせは3通り
-3826A>G は、UCP1 遺伝子の始まりから3826塩基手前で、塩基が A か G かという個人差です。データベースの番号は rs1800592 です。遺伝子のはたらきや、この場所が遺伝子の量の調節に関わる部分にあることは「UCP1 遺伝子とは?熱をつくるたんぱく質のはたらき」で説明しています。
遺伝子は父と母から1本ずつ受け継ぐので、組み合わせは A/A、A/G、G/G の3通りです。2本が同じものをホモ、違うものをヘテロと呼びます。
| 組み合わせ |
呼び方 |
G の数 |
結果レポートの危険度 |
| A/A |
ホモ |
0 |
危険度1 |
| A/G |
ヘテロ |
1 |
危険度2 |
| G/G |
ホモ |
2 |
危険度3 |
dNAXY neo の結果レポートは、G をいくつ持つかで「脂質での太りやすさ」の危険度を決めています。検索で見かける「UCP1 遺伝子 ヘテロ」は G を1つ持つ A/G の人のことで、危険度2にあたる組み合わせです。
日本人で G はめずらしくない
米国国立生物工学情報センター(NCBI)の dbSNP には、日本人の大規模な集団のデータ(東北メディカル・メガバンク機構の約3万8千人分)が載っています。このデータでは、G の並びは全体の約49%でした。国際的な調査(1000 Genomes Project)の日本人のデータでも約46%です。
同じ調査では、ヨーロッパ系の集団で約24%、アフリカ系の集団で約73%と、地域によって割合が違います。日本人では、G を1つか2つ持つ人のほうが多数派になります。「変異」という言葉から、まれな変化を思い浮かべる人もいますが、この多型はありふれた個人差です。
女性312人の研究:閉経前の女性で関連
Matsushita ら(2003年、新潟大学)は、日本人女性312人の UCP1 の型を調べ、体格と血液の脂質の値を4年後まで追いました。
閉経前の女性99人では、G を持つ人は持たない人より BMI が高く(P=0.022)、4年間の体重の増え方も大きい結果でした(P=0.048)。閉経後の女性182人では、BMI の差は見られていません。ただし閉経後の女性では、血液の中性脂肪と HDL コレステロールの4年間の変化に差が出ていました。閉経の前後での違いは「日本人女性の遺伝子と体重の研究」で扱っています。
若い男性349人の研究:BMI との関連なし
Shihara ら(2001年、京都大学)は、平均20.4歳の健康な日本人男性349人を調べました。UCP1 の型と、BMI、血糖、インスリン、家族の糖尿病や肥満の有無とのあいだに、関連は見られませんでした。
この研究が主に調べたのは、自律神経のはたらきです。体温の調節に関わる交感神経の指標は、安静時に G/G の人で A/A の人より低い結果でした。ただし UCP1 の型の影響が見られたのは、ADRB3 の型も持つ人に限られます。研究者は、UCP1 の型だけでは自律神経のはたらきに影響せず、ADRB3 の型と重なったときに交感神経のはたらきを下げる、と結論しています。
条件つきの関連として読む
2つの研究を並べると、関連が見えたのは閉経前の女性と、ADRB3 の型と重なった場合です。若い男性全体では、BMI との関連は見られていません。
| 研究 |
対象 |
体重や BMI との関連 |
| Matsushita ら(2003年) |
閉経前の女性99人 |
あり |
| Matsushita ら(2003年) |
閉経後の女性182人 |
見られず |
| Shihara ら(2001年) |
若い男性349人 |
見られず |
ADRB3 と組み合わせた肥満の人の減量については、Kogure ら(1998年)の短報もあります。どの研究も数百人規模で、性別や年齢ごとに別の結果が出ている段階です。研究で見られたのは、G を持つ人の集団と持たない人の集団を平均して比べた差です。
結果を食事の目安に使う
研究の差は小さくても、糖質と脂質のどちらを先に控えるか迷ったときには、UCP1 の危険度が目安になります。結果レポートの脂質の食事の目安は、危険度1で「いつもどおり」、危険度2で「ややひかえめ」、危険度3で「ひかえめ」です。研究の一覧は「検査結果の根拠」に載せています。
dNAXY neo の検査は、綿棒で頬の内側をこすって送る方式です。検体の到着から約2週間で、UCP1 を含む3つの遺伝子の結果レポートが開けます。価格は9,350円(税込・送料込み)で、結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定も使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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