β3アドレナリン受容体の遺伝子とダイエット:減量の研究の結果
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
日本人の減量の研究では、12週間の減量プログラム(女性61人)と3か月の指導(女性76人)で、ADRB3 の Trp64Arg という型を持つ人の体重の減りが小さい結果でした。一方、6か月の食事と運動の介入(37人)では、型の有無による差は見られていません。
3つの研究は、人数も期間も対象も違います。今のところ、この型を持つとダイエットで体重が減りにくい、と言い切れる根拠はそろっていません。
3つの研究を並べる
dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページには、ADRB3 の減量の研究を3つ載せています。PubMed の抄録で確かめた内容は次のとおりです。
| 研究 |
対象 |
期間と方法 |
結果 |
| Sakane ら(1997年) |
肥満の2型糖尿病の女性61人 |
12週間の減量プログラム |
型を持つ人は体重の減りが小さかった |
| Shiwaku ら(2003年) |
閉経前後の女性76人 |
3か月の食事と運動の指導 |
型を持つ人は体重が減りにくかった |
| Kuriyama ら(2008年) |
中年の37人 |
6か月の食事と運動の介入 |
型の有無による差は見られなかった |
12週間の減量プログラム:女性61人
京都府立医科大学の Sakane ら(1997年)は、肥満で2型糖尿病のある女性61人を、12週間の減量プログラムの前後で調べました。型を持つ人は24人、持たない人は37人です。
プログラムの前の時点で、型を持つ人はウエストとヒップの比が高く、体の大きさで補正した安静時の代謝量が低い傾向でした。プログラムのあとの体重とウエストとヒップの比の減りは、型を持つ人のほうが小さい結果です。食事の量、運動の量、甲状腺ホルモンの値は、2つの群で同じくらいでした。
抄録には、体重の減りの具体的な数字は載っていません。
3か月の指導:閉経前後の女性76人
島根医科大学の Shiwaku ら(2003年)は、閉経前後の女性76人に、3か月の食事と運動の指導を行いました。指導の前は、BMI、体重、体脂肪、ウエスト、安静時のエネルギー消費量に、型による差はありませんでした。
3か月の体重の変化は、型を持たない人で平均 -0.74kg、持つ人で -0.01kg でした。体重が減った人の割合は、持たない人で69%、持つ人で48%です。型を持たない人は、体重、BMI、ウエスト、ヒップの周囲長が統計的に意味のある幅で変わりました。型を持つ人で変わったのは、ヒップの周囲長だけです。この研究の詳しい数字は「日本人女性の遺伝子と体重の研究:閉経の前と後で何が違うか」でも紹介しています。
6か月の介入:37人では差がなかった
東北大学の Kuriyama ら(2008年)は、中年の日本人37人に、6か月の食事と運動の介入を行いました。型を持つ人は12人、持たない人は25人です。
|
型を持つ人(12人) |
型を持たない人(25人) |
| 6か月の体重の変化(平均) |
-2.52kg |
-1.89kg |
| 95%信頼区間 |
-3.56〜-1.48kg |
-2.65〜-1.13kg |
どちらの群も体重は統計的に意味のある幅で変わり、2つの群の変化の差は -0.47kg(95%信頼区間 -1.97〜1.02kg)でした。信頼区間が0をまたぐので、差があるとは言えない結果です。著者らは、この型は減量の大きな妨げではないかもしれない、と結論しています。
結果が分かれる理由
3つの研究は、次の点が違います。
| 違い |
Sakane ら |
Shiwaku ら |
Kuriyama ら |
| 人数 |
61人 |
76人 |
37人 |
| 期間 |
12週間 |
3か月 |
6か月 |
| 対象 |
肥満の2型糖尿病の女性 |
閉経前後の女性 |
中年の日本人 |
どれも数十人の研究で、型を持つ人の群はその一部です。Kuriyama らの研究では、型を持つ人は12人でした。人数が少ないと信頼区間が広くなり、小さな差は見つけにくくなります。期間や指導の中身、対象の年齢や体の状態が違えば、結果がそろわないのは不思議ではありません。ADRB3 と UCP1 の型の組み合わせで減量の効果が小さくなったという短報もありますが、これも人数の限られた報告です。
BMI そのものとの関係では、日本人6,582人をまとめた解析があります。その差の大きさは「ADRB3 の Trp64Arg とは?BMI の差0.26の大きさ」で説明しています。
結果レポートでの使い方
dNAXY neo の結果レポートでは、ADRB3 の型を「糖質での太りやすさ」の項目に使い、危険度1〜3で出します。食事の目安は、危険度1が「いつもどおり」、危険度2が「ややひかえめ」、危険度3が「ひかえめ」です。
上の3つの研究からわかるように、危険度が高い結果は、体重の減り方を前もって示すものとして読めません。糖質と脂質のどちらから控えるかを決める目安として使ってください。
検査を受けるには
dNAXY neo の検査では、綿棒で頬の内側をこすって送ると、検体の到着から約2週間で3つの遺伝子の結果レポートがマイページに届きます。ダイエット遺伝子検査+30日プログラムの価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定も使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
担当ペルソナについて
ダイエット遺伝子検査+30日プログラム
9,350円(税込・送料込み)
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