肥満は遺伝か環境か?双子の研究でわかっている遺伝的要因
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
太るかどうかには、遺伝と環境の両方が関わっています。双子や養子の研究では、同じ時代に同じような環境で暮らす人どうしの体格の差は、遺伝で説明される部分が大きいとされています。
ただし、遺伝の影響は、多くの遺伝子の小さな効果が積み重なったものです。この記事では、遺伝の影響を調べてきた研究の方法と数字、その数字の読み方を説明します。
遺伝と環境を分けて調べる方法
家族の体型が似ていても、それが遺伝のためか、同じ食卓で育ったためかは、ふつうの家族を見ているだけでは区別できません。そこで研究者は、遺伝と環境の重なり方が違う人どうしを比べてきました。
| 比べる人 |
わかること |
| 一卵性の双子と二卵性の双子 |
遺伝子がほぼ同じ組と、半分ほど同じ組の似方の差から、遺伝の影響を見積もる |
| 離れて育った一卵性の双子 |
遺伝子は同じで、育った家庭が違う |
| 養子と、生みの親と育ての親 |
遺伝は生みの親から、家庭の環境は育ての親から受ける |
離れて育った双子の研究
米国ペンシルベニア大学の研究グループ(Stunkard ら、1990年)は、離れて育った双子と一緒に育った双子を集めて BMI を比べました。
| 双子の組 |
組の数 |
| 離れて育った一卵性の双子 |
93組 |
| 一緒に育った一卵性の双子 |
154組 |
| 離れて育った二卵性の双子 |
218組 |
| 一緒に育った二卵性の双子 |
208組 |
離れて育った一卵性の双子の BMI の似方を表す値(相関係数)は、男性で0.70、女性で0.66でした。一緒に育った双子と比べても、わずかに低いだけです。研究者は、子どものころに同じ家庭で育ったことは、大人になってからの BMI の似方にほとんど関わっていなかったと結論しています。一方で、1人ずつ違う環境の影響が、個人差の約30%を占めていました。
養子の研究
同じ研究者らは、デンマークで養子になった大人540人も調べています(Stunkard ら、1986年)。養子の体格は、生みの親の BMI と強く関連していました。育ての親の BMI とは関連が見られていません。この関係は、とても細い人からとても太った人まで、体格の全体に見られました。
数字は「集団の中の差」を表す
双子と家族の研究をまとめた総説では、BMI の個人差のうち遺伝で説明される割合(遺伝率)は、双子の研究で0.47〜0.90と幅があります。総説の中身は「太りやすい体質は遺伝する?体質と遺伝子の関係をわかりやすく」で紹介しました。dNAXY neo の結果レポートの「遺伝子検査について」の章でも、肥満の遺伝的要因は30〜70%と言われていると紹介しています。
この割合は、調べた集団の中で、人による体格の差のうちどれだけを遺伝で説明できるかを表す数字です。1人の体重の何割が遺伝で決まるという意味ではありません。
環境が変われば、体格は集団全体で変わります。厚生労働省の e-ヘルスネットは、日本でも食生活の欧米化や運動不足から肥満の人が急激に増えた、という説明です。数十年の間に集団の遺伝子の並びが大きく変わることはないので、この増え方には環境の変化が関わっていると考えられます。同じページでは、肥満の家系でも、遺伝だけでなく家族の食習慣や運動習慣が共通していることが原因と考えられる、としています。
遺伝の影響は、多くの遺伝子の小さな効果の積み重ね
遺伝の影響が大きいといっても、太りやすさを決める遺伝子が1つあるわけではありません。ヨーロッパ系の約70万人のデータを合わせた研究(Yengo ら、2018年)では、BMI に関わる場所が941か所見つかりました。それでも、941か所を合わせて説明できたのは、人による BMI の違いの約6.0%です。1か所ごとの影響は、さらに小さくなります。見つかった数の移り変わりは「肥満遺伝子とは?種類と、1つの遺伝子の影響の大きさ」にまとめました。
dNAXY neo が調べる3つの遺伝子も、1つずつの影響は小さいものです。
| 結果の項目 |
遺伝子 |
日本人の研究の例 |
| 糖質 |
ADRB3 |
6,582人の解析で、型を持つ人の BMI が平均 0.26 kg/m² 高い |
| 脂質 |
UCP1 |
若い男性349人では、BMI との関連なし |
| たんぱく質(筋肉) |
ADRB2 |
4,193人の研究で、この型だけでは関連なし |
ADRB3 の 0.26 kg/m² は、身長160cmの人なら体重で約0.67kgの差です。遺伝子の型と食べる量が重なったときに差が見えた研究は「太りやすさは遺伝子だけで決まらない:食べる量との関係」で取り上げています。研究の一覧は「検査結果の根拠」のページです。
遺伝子タイプは、環境を整える順番に使う
遺伝子の型は変えられませんが、食べる量や中身、体を動かす量は変えられます。dNAXY neo の検査では、3つの項目ごとに危険度1〜3が出ます。たとえば糖質の危険度が3なら主食の量を「ひかえめ」に、脂質の危険度が3なら揚げ物や脂の多い肉を「ひかえめ」にするのが目安です。
検査は、綿棒で頬の内側をこすって送る方式です。検体の到着から約2週間で、マイページの結果レポートが開けるようになります。価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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