エビデンスレベルとは?研究の種類と確かさの目安をわかりやすく
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
エビデンスレベルは、研究の種類ごとに、結果がどれくらい確かかを並べた目安です。一般に、無作為化試験とそれを集めたまとめが高く、1つの観察研究や症例の報告は低めとされます。
この記事では、研究の種類の並び方と、その並びを遺伝子検査の根拠の研究に当てはめるときの読み方を説明します。例は、dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページに載せた研究です。
研究の種類のピラミッド
国立がん研究センターのがん情報サービスは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の手引きをもとに、研究の種類をピラミッドの形で示しています。上から順に次のとおりです。
| 並び |
研究の種類 |
やり方 |
| 1 |
メタアナリシス |
複数の研究の結果を統計の方法で統合する |
| 2 |
システマティックレビュー |
関連する論文を漏れなく集め、一定の基準で選んで評価し、まとめる |
| 3 |
ランダム化比較試験 |
参加者をくじのような方法でグループに分けて比べる |
| 4 |
コホート研究 |
ある要因の有無でグループを分け、その後を追って調べる |
| 5 |
症例対照研究 |
病気になった人とならなかった人で、過去の要因を比べる |
| 6 |
症例報告、ケースシリーズ |
1人から数人の詳しい報告 |
ASCO の手引きでは、強い推奨を出すときは上の3つの層の研究だけを考えるとされています。4、5のコホート研究と症例対照研究は、研究者が手を加えずに調べる観察研究の種類です。
上の層ほど確かとされる理由
並びを決めているのは、結果に偏りが入りやすいかどうかです。くじで分ける試験では、生活や年齢の違いがどのグループにも同じくらい散らばるので、比べた方法の違いを結果の差と見なしやすくなります。くじで分けない比べ方について、日本医療機能評価機構の Minds の用語集は、選ぶときの偏り(選択バイアス)が大きくなりやすいとしています。くじで分ける試験のしくみは「無作為化比較試験(RCT)とは?わかりやすく、遺伝子の研究を例に」で説明しています。
ただし、ピラミッドは一般的な傾向です。がん情報サービスの解説は、いちばん上のメタアナリシスも、まとめた個々の研究の質に影響を受けると書いています。同じ解説によると、多くの診療ガイドラインは、問いごとに集めた研究全体の確かさを、A(強)、B(中)、C(弱い)、D(とても弱い)の4段階で示しています。この4段階は、Minds の診療ガイドライン作成マニュアルによるものです。
根拠のページの研究を、ピラミッドに当てはめる
根拠のページの研究を、PubMed の抄録で確かめた種類ごとに並べると次のようになります。抄録のない短報1本は、表に入れていません。
| 研究の種類 |
根拠のページの研究 |
| メタアナリシス |
ADRB3 と BMI、日本人の35グループ6,582人(Kurokawa ら、2001年) |
| ランダム化比較試験 |
遺伝子の型と食事法、米国の成人609人(Gardner ら、2018年) |
| 介入研究(くじで分けない) |
同じ減量の指導を受けた人を型で比べた3本(37〜76人) |
| 観察研究 |
型と BMI や体重の関係を調べた6本(210〜4,193人) |
それぞれの研究の種類の違いは「観察研究と介入研究の違い:遺伝子と体重の研究の種類を知る」で詳しく説明しています。
何についての確かさかを分けて読む
エビデンスレベルを見るときは、その研究がどの問いに答えたかもあわせて確かめてください。根拠のページの研究は、問いが2つに分かれます。
- 型と BMI や体重に関係があるか。Kurokawa らのメタアナリシスが答えた問いで、型を持つ人の BMI は平均 0.26 kg/m² 高かった
- 型に合わせて食事法を選ぶと、体重がより減るか。Gardner らのランダム化比較試験が答えた問いで、12か月の体重の減り方に差はなかった
ピラミッドの上の層の研究が2本あっても、答えた問いは別々です。1つ目のメタアナリシスがまとめたのは観察研究なので、型が BMI を上げたとまでは言えません。2つ目の試験は、PPARG、ADRB2、FABP2 の型の組み合わせで調べたもので、dNAXY neo が調べる ADRB2 の型とは位置が違います。
この2つを合わせると、今の研究で確かさが比較的高いのは「型と BMI の小さな関連」と「型で食事法を選んでも体重の減り方は変わらなかった」の2つです。型を持つとダイエットで体重が減りにくいかどうかは、くじで分けない介入研究で結果が分かれています。
遺伝子タイプを、食事を選ぶ目安として使う
dNAXY neo の結果レポートに出るのは、糖質、たんぱく質(筋肉)、脂質の3つの項目ごとの危険度1〜3です。上の研究の範囲に合わせて、dNAXY neo は危険度を、体重の減り方を約束する数字としては使いません。使い方は、糖質と脂質のどちらを先に控えるかを選ぶときの目安です。
価格は9,350円(税込・送料込み)で、検体の到着から約2週間で結果レポートが開けます。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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