研究の人数は何人あれば十分?37人から6,582人までの研究
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
研究の対象が数十人の研究と数千人の研究では、結果の重みが違います。人数が少ないと偶然の差が出やすく、本当は差があっても見落としやすくなるためです。
何人あれば十分かは、調べたい差の大きさによって変わり、決まった人数はありません。この記事では、dNAXY neo の「検査結果の根拠」のページにある37人から6,582人までの研究を例に、人数の見方をまとめました。
人数が少ないと起きる2つのこと
研究の対象者の数を、サンプルサイズと言います。日本医療機能評価機構の Minds の用語集によると、サンプルサイズは多すぎても少なすぎても問題が生じます。少ないときに起きることは、主に2つです。
1つ目は、偶然の差が出やすいことです。たまたま体重の減った人が片方のグループに集まると、それだけで差が出ます。2つ目は、本当の差を見落としやすいことです。差が出なかったとき、本当に差がないのか、人数が足りずに見えなかったのか(検出力不足)を区別できません。
Minds の用語集は、人数が少ないために信頼区間の幅が広くなることを「不精確性」と呼んでいます。信頼区間は、本当の差がありそうな範囲の目安です。幅が広いほど、研究の結果からは差の大きさを絞り込めません。
根拠のページの研究を人数で並べる
根拠のページの研究のうち、抄録に人数が書かれた11本を、少ない順に並べました。
| 人数 |
対象 |
研究の種類と期間 |
| 37人 |
中年の日本人 |
6か月の食事と運動の介入 |
| 61人 |
肥満の2型糖尿病の日本人女性 |
12週間の減量プログラム |
| 76人 |
閉経前後の日本人女性 |
3か月の食事と運動の指導 |
| 210人 |
日本人男性 |
観察研究 |
| 222人 |
日本人 |
観察研究 |
| 295人 |
日本人男性 |
観察研究 |
| 312人 |
日本人女性 |
観察研究(4年間の変化も調べた) |
| 349人 |
若い日本人男性 |
観察研究 |
| 609人 |
米国の成人 |
12か月の無作為化試験 |
| 4,193人 |
日本人 |
観察研究 |
| 6,582人 |
日本人の35グループ |
複数の研究をまとめた解析 |
人数が少ないのは、指導をして体重の変化を追う研究です。指導には手間がかかるので、数十人の研究が多くなります。指導をしない観察研究は、数百人から数千人を集めやすくなります。
全体の人数より、比べたグループの人数を見る
研究の人数を読むときは、全体の人数だけでなく、実際に比べたグループの人数も確かめてください。
| 研究 |
全体 |
比べたグループ |
| Kuriyama ら(2008年) |
37人 |
ADRB3 の型を持つ人12人、持たない人25人 |
| Sakane ら(1997年) |
61人 |
ADRB3 の型を持つ人24人、持たない人37人 |
| Matsushita ら(2003年) |
312人 |
閉経前の女性99人、閉経後の女性182人 |
| Pereira ら(2011年) |
4,193人 |
女性1,911人、男性2,282人 |
Kuriyama らの研究では、6か月の体重の変化を、型を持つ人と持たない人で引き算した差が -0.47kg、95%信頼区間は -1.97〜1.02kg でした。区間に0を含むので、差があるとは言えません。12人と25人の比べでは、差がないのか、人数が足りずに見えなかったのかを区別しにくい結果です。
Matsushita らの研究で UCP1 の型と BMI に関連が見られたのは、閉経前の99人でした。全体は312人でも、結果を支えている人数はその一部です。
人数のほかに、対象と期間もあわせて読む
人数が多ければ、どんな結果も使えるわけではありません。対象と期間も見てください。
対象の例が、根拠のページで最も人数の多い観察研究(Pereira ら、2011年、4,193人)です。対象は糖尿病のない中高年の日本人で、ADRB2 の型だけでは BMI や肥満との関連が見られませんでした。研究の結果は、調べた人と似た人ほど当てはめやすくなります。若い人や、別の国の人に同じ結果が出るとは限りません。
期間も結果を左右します。12週間で体重の減り方に差が出た研究があっても、12か月続けたときに差が残るかは、別の研究で確かめる必要があります。609人の無作為化試験(Gardner ら、2018年)は、12か月の体重の変化を比べ、最後まで参加したのは481人でした。
人数と研究の種類をあわせた確かさの目安は「エビデンスレベルとは?研究の種類と確かさの目安をわかりやすく」で、複数の研究をまとめて人数を増やす方法は「メタアナリシスとは?日本人6,582人の解析を例に」で説明しています。
小さな研究の結果を、目安として読む
根拠のページで、減量のしやすさを調べた研究は37〜76人と小さく、結果も分かれています。dNAXY neo は、検査の結果で体重の減り方が決まるとは考えていません。結果レポートの危険度1〜3は、糖質と脂質のどちらを先に控えるかを選ぶ目安です。
価格は9,350円(税込・送料込み)で、検体の到着から約2週間で結果レポートが開けます。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
担当ペルソナについて
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