遺伝の仕組みをわかりやすく:遺伝子を両親から1つずつ受け継ぐ
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
人は同じ遺伝子を、父親と母親から1つずつ、合わせて2つ受け継ぎます。精子と卵子には染色体が半分の23本ずつ入っていて、受精して46本にそろうためです。
この記事では、遺伝子が親から子へ渡る仕組みを、染色体の数の変わり方から順に説明します。かつて「優性・劣性」と呼ばれていた言葉が、今は「顕性・潜性」と呼ばれる理由も紹介します。
染色体は2本で1組
米国国立医学図書館の MedlinePlus によると、人の細胞にある染色体は23組、合わせて46本です。22組は男女で同じ形の常染色体で、残りの1組が性染色体です。1組の2本のうち、1本は父親から、もう1本は母親から来ています。
遺伝子は染色体の決まった場所に載っているので、同じ遺伝子は2本の染色体に1つずつ、計2つです。MedlinePlus も、人はふつう遺伝子を2つずつ持ち、1つずつを両親から受け継ぐと説明しています。DNA、遺伝子、染色体の関係は「DNA・遺伝子・染色体・ゲノムの違いをわかりやすく」にまとめました。
精子と卵子で、染色体が半分になる
親の細胞の染色体は46本です。そのまま子に渡すと、子の染色体は92本になってしまいます。そこで、精子と卵子を作るときの細胞の分かれ方は、減数分裂という特別なものです。
| 段階 |
染色体の数 |
| 父親と母親の体の細胞 |
46本(23組) |
| 減数分裂でできた精子と卵子 |
23本(各組から1本ずつ) |
| 受精した卵 |
46本(23本ずつ合わさる) |
MedlinePlus の説明では、減数分裂で染色体の数は46本から23本に半分になり、受精で精子と卵子が23本ずつを持ち寄って46本になります。減数分裂のときには遺伝子の混ぜ合わせも起き、同じ両親から生まれたきょうだいでも、受け継ぐ遺伝子の組み合わせは違うことがあります。きょうだいで結果が分かれる話は「兄弟で遺伝子検査の結果が同じ?家族の結果が似る理由」で扱っています。
2つの遺伝子の組み合わせ
人によって並びが違う場所では、両親から受け継いだ2つの並びの組み合わせで、その人のタイプが決まります。米国国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の用語集では、ある場所の並びの1つ1つの呼び名は対立遺伝子(アレル)です。両親から同じ並びを受け継いだ状態はホモ接合、違う並びを受け継いだ状態はヘテロ接合です。
dNAXY neo で調べる ADRB3 の場所では、受容体の64番目のアミノ酸が Trp になる並びと、Arg になる並びがあります。組み合わせは Trp/Trp、Trp/Arg、Arg/Arg の3通りです。
dNAXY neo の結果レポートの危険度1〜3は、この2つのうち、肥満に関連するとされる並びをいくつ持つかで決まります。数と危険度の対応は「危険度1〜3の違い:遺伝子を1つ持つか2つ持つか」、母親と父親のどちらから受け継いだかの話は「太りやすさは母親と父親どっちから遺伝する?遺伝子の受け継ぎ方」にあります。
「優性・劣性」は、今は「顕性・潜性」
2つの並びが違うときに、片方の性質だけが表に出ることがあります。NHGRI の用語集の説明では、表に出るほうが dominant、隠れるほうが recessive です。recessive の性質が表に出るのは、同じ並びを2つ持つときです。
日本語では、この2つは長く「優性」「劣性」と訳されてきました。日本遺伝学会は、これを「顕性」「潜性」と呼び替えるよう提案しました。日本学術会議の生物科学分科会も、2019年の報告「高等学校の生物教育における重要用語の選定について(改訂)」で、顕性・潜性を見出し語にしています。報告によると、「優性・劣性」にはもともと優れた性質、劣った性質という意味はありません。それでも誤解を受けやすいと長く指摘されてきたことが、呼び替えの理由です。
| 前の言い方 |
今の言い方 |
英語 |
意味 |
| 優性 |
顕性 |
dominant |
並びが1つあれば性質が表に出る |
| 劣性 |
潜性 |
recessive |
同じ並びが2つそろったときに性質が表に出る |
dNAXY neo の結果レポートの「遺伝子検査について」の章でも、並びが多くの人と違うことを「変異」と呼びつつ、遺伝的に劣っているわけではないと書いています。
危険度は、持っている並びの数の目安
dNAXY neo の危険度1〜3は、顕性か潜性かで分けたものではありません。関連するとされる並びを持っている数を、そのまま1〜3に置き換えた目安です。
危険度は、体重の増え方を示す数字でもありません。研究で見られたのは、同じタイプの人の集団で平均したときの小さな差で、関連を認めなかった研究もあります。研究の一覧は「検査結果の根拠」のページにあります。結果レポートで危険度を使うのは、食事の目安を決めるときです。たとえば、たんぱく質の1日の目安は、危険度1で体重×1.5〜1.75g、危険度2で1.75〜2g、危険度3で2〜2.5gです。
自分が受け継いだ並びを知るには
親の体型から、自分が受け継いだ並びはわかりません。dNAXY neo の検査は、綿棒で頬の内側をこすって送る方式です。検体の到着から約2週間で、3つの項目の危険度が結果レポートに載ります。価格は9,350円(税込・送料込み)です。結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。結果レポートの一例は「結果レポートのサンプル」で見られます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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