遺伝子差別を禁じる法律:アメリカの例と日本の取り組み
2026年10月7日
文責: dNAXY neo 編集部(担当ペルソナ: 佐々木 英樹)
アメリカには、遺伝情報による差別を健康保険と雇用の場面で禁じる法律があります。2008年に成立した「遺伝情報差別禁止法(Genetic Information Nondiscrimination Act of 2008、略称 GINA)」です。
日本では、2023年に成立したゲノム医療法で、遺伝情報による不当な差別への対応が国の施策として定められました。この記事では、アメリカの法律の中身と、日本の取り組みを説明します。
アメリカの遺伝情報差別禁止法(GINA)
米国政府の官報の記録では、GINA は2008年5月21日に承認された法律(Public Law 110-233)です。健康保険の決まり(第1編)と、雇用の決まり(第2編)の2つに分かれています。
| 場面 |
禁じていること |
| 健康保険(第1編) |
加入できるかどうかや、補償の範囲、保険料を決めるときに遺伝情報を使うこと。本人や家族に遺伝子検査を受けるよう求めること |
| 雇用(第2編) |
採用、解雇、昇進、給与、配置などを遺伝情報で決めること。遺伝情報を求めたり、買い取ったりすること |
雇用の決まりを担当する米国雇用機会均等委員会(EEOC)によると、第2編は2009年11月21日に施行されました。雇用主は、手に入った遺伝情報を秘密にし、ほかの記録と分けて保管しなければなりません。
EEOC の説明では、遺伝情報には本人の遺伝子検査の情報に加え、家族の遺伝子検査の情報と、家族の病歴も含まれます。家族の病歴が含まれるのは、将来の病気のかかりやすさを推し量るのに使われることが多いからです。
GINA の対象にならないもの
米国国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の説明では、GINA の健康保険の決まりは、生命保険、障害保険、長期介護保険には及びません。雇用の決まりは、従業員が15人未満の雇用主には当てはまらず、米国の軍は雇用の判断に遺伝情報を使うことが認められています。
NHGRI によると、GINA が定めるのは最低限の保護です。州の法律の中には、より広い範囲を守るものもあります。
日本の取り組み
2023年に成立したゲノム医療法には、GINA のように差別を禁じて罰する規定はありません。代わりに第16条で、ゲノム情報による不当な差別等への適切な対応を確保するための施策を講じるよう国に求めています。法律の中身は「ゲノム医療法とは?遺伝情報による差別を防ぐ決まりをわかりやすく」で説明しています。
この法律に基づいて2025年11月に閣議決定された基本計画は、日本でも、就職や働く場面、生命保険の加入や支払い、結婚などでの不当な差別の事例が報告されている、と書いています。そのうえで計画が挙げているのが、労働と保険の分野で、次の対応がまとめられたことです。
| 分野 |
中身 |
| 労働 |
厚生労働省が2024年8月に Q&A をまとめた。採用選考でも採用後も、遺伝情報を集めないことなどを雇い主に求める |
| 保険 |
生命保険協会と日本損害保険協会が、引き受けと支払いで遺伝学的検査の結果を集めたり使ったりしないことなどを定め、金融庁が周知した |
厚生労働省の Q&A は、職業安定法とその指針で、遺伝情報は「社会的差別の原因となるおそれのある事項」に含まれ、採用選考で集めてはならない、としています。採用後に会社から遺伝情報を出すよう求められても、応じる必要はないとも書かれています。遺伝情報だけを理由にした解雇は、一般的には解雇権の濫用として無効になると考えられる、という答えです。
生命保険の扱いは「遺伝子検査の結果で保険に入れない?知っておきたいこと」で詳しく説明しています。
結果を誰に渡すかは、本人が選ぶ
どちらの国の決まりも、遺伝情報が本人の知らないところで使われないようにする点で共通しています。検査を受ける側にできるのは、結果を誰に渡すかを自分で決めることです。
dNAXY neo の検査で調べるのは、肥満に関連するとされる3つの遺伝子(ADRB3、UCP1、ADRB2)の型です。結果は、購入した本人のアカウントのマイページにだけ表示します。「プライバシーポリシー」の「第三者への提供」には、法令に基づく場合を除き、本人の同意なく、個人情報と遺伝情報を第三者に提供しないと書いています。家族や勤め先から見た結果の扱いは「遺伝子検査の結果は誰が見られる?家族や会社に知られないか」にまとめました。
dNAXY neo の検査の価格は9,350円(税込・送料込み)です。検体の到着から約2週間で結果レポートが開け、結果が出た日から30日間は、遺伝子タイプに合わせた1週間の献立と食事の判定を使えます。
出典
文責
dNAXY neo 編集部(株式会社tatepass)

担当ペルソナ: 佐々木 英樹(遺伝子検査)
遺伝子と遺伝子検査の記事を担当します。検査でわかることとわからないことを分けて、根拠の研究とあわせて説明します。
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